「お前がずっと続ける仕事は何だ?」
父にそう聞かれたのは、2年ほど前。僕がエンジニアから介護業界へ転職すると伝えた時のことです。
65歳の父は、親としてではなくひとりの社会人としてこう言いました。
「続けたからわかることが、多かった」
住宅建築と施工管理の世界で40年以上生きている父。はじめは設計だけだったけど、続けたら利益についても考える。仕事以外で関わる世界も広がっていく、と言う。
意味はわかるけど僕には極めたいひとつが無かったし、いろんなことを知りたかったんです。自衛官にエンジニアにと仕事を移り続けてきたのも、それぞれで知りたいことがあったから。
介護の時は「父の老後に、何が出来るか知りたい」と思っていました。
部屋の温度や湿度はどうしたら良い?水分が足りないと血圧や脈はどうなる?認知症になったら?
いま元気な父もいつか、ひとりでは生きられなくなるかも。その時答えられるようになりたくて介護の仕事を選びました。
父に安心してもらうにはどうしたら良いか?あなたも一度は考えたことがあると思います。
「職業だったら、何だろう?」
父に安心を与えるし自分が本当にしたい仕事。僕が今までに会った人たちを思い出して、考えました。
で、たどりついた答えは
職業:コピーライター。
商品の説明文を書く仕事です。
「えっ、糸川さん、いきなりコピーライターですか?!」
はい!話が急展開していると自覚してます、順番にお話ししていきます。
まず、父は僕を文学部に進ませてくれました。その意味が生まれたら喜ぶかも・・・と思いました。
そしてコピーライターは、右往左往した経験すべてが活きる仕事らしいんです。
なぜかって、最重要なのは商品よりも受け取る相手を理解すること。そのために多くのムダなことを知っているのが財産にもなるそう。
人を理解する仕事がコピーライター。
優しくなりたい。だから僕の人生でこれだけは、どうしてもトライしたいです。
「今まで全部がムダじゃない」と自分にも言いたいし、「信じて応援してくれてありがとう」と、行動で父に伝えられたら。
そんな気持ちを思い出せるよう、ハラ決めた瞬間に見た景色の写真。2月にした旅での、自宅から95km進んだ浜松です。
2ヶ月たって、この4月に転機が訪れました。以前IT企業のパーティでお会いした広告会社の方に再会。
「最近なにしてんの」と聞かれ、「コピーライティングの勉強しながらネット記事作成の仕事もしてます」
そして「コピーライターになりたい!」とも声にしました。
するとなんと、その方の勤める会社でライターを探していたのです。
お求めは即戦力でしたがエンジニア経験あるなら他の業務も人手がいる、と。そのアシスタントで終わらずにライターとして一人前を目指すなら、とお声かけ頂きました。
僕にはチャンスですが、もちろん不安はあります・・・
同世代は10年以上続けてきて、かなりの実力になっている。僕が新人として始めて、追いつけるのか?
食品分野の内容で、産地や加工法にもかなり情報量があるはず。ライター知識も商品知識も、身につくまで時間がかかる・・・
会社が求める水準に達するだろうか?
正直に振り返って、「無理です」と言いかけてました。
それでもコピーライターになるつもり。やると決めてるなら実践しかない!
「お願いします」と回答しました。
30半ばのオールドルーキー、ご恩が大渋滞してるので目一杯いきます。