ヤシの木と会うために
1月末に名古屋出発、自転車の旅。たどり着いた「ザルゲートガーデン」さんは、ヤシの木が立ち並ぶ庭づくりの会社さん。1年前にテレビで見てから、訪れたかった聖地を見学します。
平らな土地で強風が吹き抜ける埼玉県深谷市、僕が新卒で3ヶ月過ごした街。土や花、工場の匂いがあの頃と同じ。広い世界の知らなかった土地を自立して歩くことに感動してたし、不安も同時にありました。
行きつけだったネットカフェから7km、スマートな金属柵や建物。カリフォルニアスタイルの庭園は、ヤシの葉がそよぐ音が心地良い。
「ヤシの木が好きな理由を説明できる?」 「影を重ねているのは何?」自分に問い、すぐわからないけど今日わかると直感。まずヤシの木をしっかり見よう・・
ありったけ生きている。人間と違って自分では動けない。何十年と伸び続け、多くの人と出会い別れたはず。毎日モノ言わず生命力を爆発させて、嫉妬もシガラミも無い。自己主張も他者の評価もなく、ただ伸びる・・。
お互い「伸びたね」なんて言って、たまに会えたら丁度いい。ヤシの木を前にしたら、神様に見せるように自分も他人もなく「ありったけ生きる」姿で。
自分が「寂しさ」を認識できてなかったと、旅で気づきました。転職するときは「人づきあいでの疲れ」を拒むように問答無用で立ち去ってた。「職場に残る人とのあいだに生まれるモヤモヤ」は感じてたけど。
旅で再会した先輩、新しくつながったひと、久しぶりの友人。ずっと一緒ではなくても、会えた日には最高って思う。似た話で、「裸の大将」は興味深い生きかたしてます。
心と在りかたの一致を目指そう。
同じ時間を過ごして「また会える」とか「どこかで生きてる」なんて思ってたけど、はるばる名古屋から訪れたヤシの木を前に気づく。会いたい人がいても自分で動けない世界は、胸が苦しい。
思い浮かぶひとに感じる切なさと、動き続けたい自分の心が同時にあるのを受け入れる。根源で選ぶために、このスタンスは保つ。
ザルゲートガーデンの立派な事務所でスタッフさんとお話。ヤシの葉に積もる雪を夜通し払い落としたそう。使命に生きてるのわかります。全国に植え替えたヤシの木を「北は宮城県でも無事」と、讃えるようにお聞かせ頂きました。
「大切にする」象徴と見てます。自分のそばに、ヤシの木を植えたい。